この日の主役は伸びかけのヒゲを切られ、ブラッシングされ、
顔を入念に拭かれ、レスキュークリームを塗られ困惑していた。
「なんでこんなに身だしなみを整えられてんだ?」と思っていただろう。
困惑顔のアドを車に乗せ、飼い主2名と飼い主の妹で撮影場所へと向かった。
本当にアドでいいのか?という疑問と、アドに出来るのかという不安が
ムクムクと芽生え少し不安になる。
連絡をくれた編集者のDさんとカメラマンさんが出迎えてくれた。
場に慣らすためアドを自由にさせてクンクンチェックをしてもらう。
しばらくクンクンチェックをして「どうやら危ない所ではないらしい」と
判断したらしく人に擦り寄りクネクネしていた。
場に慣れてきたところで撮影開始。
撮影は、台の上。
病院の診察台が大嫌いなアドには、台の上での撮影は大変だった。
自力で飛び降りてアゴで着地するという一同を驚かせるハプニングも1度起きた。
アドを台の中心に真正面を向かせてオスワリさせる。
これがなかなか難しい。。。
アドのすぐ横に私が立ち「マテだよ」と言ってオスワリさせて、
逆側に立ったOKUが飛び降りようとするアドを止める、
カメラマンさんの後ろに立った編集者のDさんがおもちゃでアドの気を引く。
撮影する→アドが立ち上がる→抱っこしてなだめる→撮影する→
アドの集中力が切れる→下に降ろす→撮影するを何度か繰り返した。
最後は結構長い時間台の上でオスワリ→マテができた。
事務所に居た時間は30分くらいだったけど、
撮影に掛かった時間は15分くらいだったと思う。
初めて行った場所で、大嫌いな台の上でよくがんばってくれた。
この日、つくづく「トレーニングをしていて良かった」と感じた。
トレーニングしてなかったら全く出来なかっただろう。
薩美先生、レッスンがこんなところで活かせましたよ!
何故アドが選ばれたのか聞いてみると、表情が豊かだったからだそうだ。
ただ、全身の写真じゃないから賭けだったとも言っていた。
でも、アドにして正解だったと言っていただいて、しみじみと感激した。
「実物以上に男前に撮ってください!」
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