2009-04-18

肝臓疾患の対処と予防

前回の“肝臓疾患とは”では、肝臓の働き、肝臓疾患の症状、

原因について書きました。

今回は、肝臓疾患の対処方法と予防方法についてです。



<飼い主にできること>

肝疾患がある場合、血流中に入り込む全てのものを解毒する能力が弱まります。

その為、獣医師による通常の治療に加えて食事やサプリメント、

薬剤などできる範囲で特別な配慮を行う必要があります。

家の内外で使用したり、ペットに用いる化学物質の数は

できる限り少なくしてください。

使用している薬物の減量が可能かどうか獣医師に確認しましょう。

身体の解毒を助けるために十分な水分摂取を促してください。



<栄養サポート>

消化しやすい低脂肪の食事にする。

脂質全般を削除しても、ある程度の必須脂肪酸を食事に加える必要がある。

肝臓を守る為に、毎日の食事に抗酸化物やグルタチオンの豊富な食材を加える。

カロチンが豊富な人参、カボチャ、パセリ、ほうれん草、小松菜。

ビタミンAとグルタチオンが豊富な肝臓、卵。

グルタチオンとカロチンが豊富なブロッコリー。

ビタミンCが豊富なニガウリ、芽キャベツ、柑橘系の果物。

油が多めの食事を与えた場合には、ビタミンEのサプリメントを加える。

良質なタンパク源となる牛肉、豚肉、鶏肉、魚類を与える。

食事は1日に1回か2回多めの量を与えるよりも1日3回か4回に分割して与える。

週に1、2回食事を抜いて肝臓を休ませる。



*フィラリア予防薬を投与する場合には、肝臓の負担を考えて

ターメリック(ウコン)、ミルクシスル(マリアアザミ)、

ニンニクなどのハーブ、アーティチョーク、ビートなどの食材を与える。



【アーティチョーク】

強力な抗酸化力と肝臓保護能力を持っていることが分かっている。

肝臓を保護して、環境内に存在する様々な有害物質から

ダメージを受けないように守ってくれます。

さらに、肝機能を刺激することで、血液中の脂肪とコレステロールを

減らす効果があると考えられています。



【ビート(砂糖大根)】

消化を助けるだけでなく、肝臓の解毒を補助してくれる。

「ベタイン」というビートに含まれる天然成分は、

アーティチョークと同じ働きをする。

ベタインの働きによって、肝細胞は修復され、肝臓の外へと脂肪を排泄させる。

その他にも、ビートにはリン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、

カルシウム、鉄分、ビタミンC、カロチン、ナイアシン、ビオチンなど

様々な栄養素を含んでいる。



【アブラナ科の植物】

大根、ブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科の植物は、

肝臓の解毒を刺激します。

ビタミンCとインドールを含み、これらの成分によって肝臓の解毒を促します。



【ターメリック(ウコン)】

肝臓にとって特異的な抗酸化作用と抗炎症作用があり、

肝臓の炎症に対して有効。

ターメリックに含まれるクルクミンによる作用です。

さらに、クルクミンは胆汁排泄を促進する作用や、

発癌性物質の活性化を抑制することで、

発がん性作用を持っていることも最近では明らかになっている。



【タンポポ】

胆汁分泌を促進、または放出を刺激することで、肝臓からの毒素排泄を助けます。



【ニンニク】

ニンニクには、免疫増強作用や殺菌作用など様々な働きがあります。

この様々な働きは、ニンニクがイオウ化合物を多く含むからです。

イオウ化合物は、発ガン性物質を不活化したり、

体外に排泄させる解毒作用を促進する働きがあります。



【甘草(リコリス)】

甘草の抽出物は、急性と慢性の肝疾患に対して有効です。

肝臓を保護したり、免疫系を強化したりします。

甘草に含まれるグリシルリジン酸という成分が肝臓保護作用を持っていて

肝臓に対して効果があります。



【ミルクシスルの種(マリアアザミ)】

胆汁の分泌を促進して、脂肪の消化吸収を助けます。

タンパク質の合成を促してくれるので、炎症などでダメージを受けてしまった

細胞の再合成を活性化させる。

肝臓が行う解毒作用で必要となるグルタチオンを増加させる。

今までのところ、毒性は見つかっていないが、

余りにも大量に与えると胆汁が過剰に分泌されるために軟便になる。



【グルタチオン】

グルタチオンは、システイン、グルタミン酸、グリシンから成るトリペプチドで、

硫黄を含む強力な抗酸化物です。

老化、栄養不足、そして医薬品を含む様々な有害物質にさらされ続けると、

血液中のグルタチオン濃度は低下します。

このグルタチオンレベルの低下によって関節炎、糖尿病、

癌などの重篤な疾患へのリスクは高まります。

グルタチオンは肝臓が有害物質を中和する際に大量に発生させる

活性酸素の除去に一躍かっています。

ですから、肝臓、腎臓、腸管などの有害物質に常にさらされている

臓器にとってグルタチオンは特に重要になります。

肝臓やブロッコリーにはグルタチオンそのものが含まれます。

また、グルタチオンの前駆物質の最高の天然原料は、清乳(ホエイ)、

生卵、そして生乳です。

生卵には、高い濃度でグルタチオン前駆物質が含まれています。

特に卵白に多く含まれるので、卵を与える時には全卵を与えることが重要。

ビオチンの欠乏を心配される方もいるが、毎日のように10や20もの卵を

与えていなければ問題にはならない。

他に加熱処理がされてない生乳が手に入るのであれば、

グルタチオンの原料を供給してくれます。



【抗酸化物】

様々な化学物質によって、ストレスを負っている肝臓にとっては、

抗酸化作用のある食材やビタミンサプリメントは非常に有効です。

解毒の過程では大量の活性酸素を発生させています。

食事に意識して抗酸化物の豊富な食材を加えることは重要です。

ビタミンA、C、Eは有効な抗酸化物です。

コエンザイムQ10は循環を促進するだけでなく、有効な抗酸化物です。

また色が鮮やかな食材にも豊富に抗酸化物が含まれています。



【シジミ】

貝類の中では、シジミがもっとも理想的なタンパク質をもっています。

また、カルシウムと鉄分の含有量も、貝類の中では抜群です。

さらに特筆すべきは、リンの成分が少ないこと。

リンを過剰に摂取するとカルシウム不足になりますが、

その点、シジミはリンが少なく、カルシウムの摂取源としても優れた食品です。

シジミにはロイシンやメチオニン、タウリンなどのアミノ酸が

豊富に含まれている。

これらの作用で血中コルステロールを低下させ、心臓機能強化、

動脈硬化予防、肝機能強化に働く。

またシジミには、鉄やビタミンB12も多く含まれており、貧血改善にも効果がある。

このビタミンB12は、水溶性で煮汁に流れでるので、

シジミの身を食べるより、煮汁を飲むほうが効果的。





<上記以外の補助食品など>

サプリメント

・S-アデノシル-L-メチオニン(SAMe)

・プロバイオティクス

・亜鉛

・ビタミンB複合体



ハーブ

・ブプレウルム

・シザンドラ





<運動>

毎日軽い運動を行って肝臓の刺激を助け、老廃物の排泄と血行の改善を促す。





私が調べた肝臓疾患については以上です。

アドのように飼い主が気付かず、血液検査をしたら肝酵素値が高くて、

そこで初めて発覚したということは十分ありえる話。

肝臓は痛みを感じる知覚神経がなく、沈黙の臓器と呼ばれているから、

何度もしつこいけど、必ず定期的な血液検査は受けた方がよい。



再検査には今月末頃に行く予定。

勉強して、やれるだけのことはやった。

後はGPTが標準値になっていることを祈るばかり。





*参考文書*

愛犬のための症状・目的別栄養事典 須崎 恭彦 (著)

ペットの自然療法事典 バーバラ・フジェール (著)

「胃腸が弱い」ではすまされない! 本村伸子(著)

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